Dr.Loosen / Mosel

ドクターローゼン / モーゼル

ドイツのリースリングを世界に知らしめた、モーゼル地域のカリスマ


ベルンカステルにあるドクター・ローゼン醸造所は200年の歴史を誇る伝統的なワイナリーですが、
エルンスト・ローゼン氏が代表になったのは1988年のこと。
病気となった父の後を継ぐため、大好きだった考古学の研究を断念。

しかし、引き継いだ当時、醸造所は収穫量を重んじる昔ながらの手法を引きずり、ワインの品質は落ち込んでいました。父が完全に醸造所から手を引くことを条件に跡を継ぎ、醸造長のベルンハルト・シュグ氏とともに仕事を根本から見直すことになると、古くからの怠惰なスタッフは全員辞めることに。
自根の古木のぶどうにこだわり(中部モーゼルは冷涼で水はけの良い土地柄、フィロキセラが入ってこなかった地域)、ぶどうの収穫量を半分以上に減らし、化学肥料の使用を一切止め、有機肥料を使った最新農法を取り入れ、アナログでありながらも昔ながらの素朴な醸造法を取り戻し、古き良き時代のドイツワインを取り戻すことを目標に、土地の味わいを表現することにこだわりました。
フィロキセラが入ってこなかったことから、未だに樹齢100年を超える白根の樹を数多く所有しており、「テロワールを映し出す鏡」と言われる、繊細かつ余韻の長い土地の味わいがよく出たリースリングはまさに芸術品です。
彼はエアデナー・プレラート、エアデナー・トレップヒェン、ウルツィガー・ヴュルツガルテン、ヴェーレナー・ゾンネンウーア、など12ヘクタールの特級畑をモーゼルに所有していますが、これだけでは満足できず、1996年ファルツのヴァッヘンハイム村に11.5ヘクタールの畑を所有する名門J.L.ヴォルフ醸造所を買い上げ、1999年にはアメリカのワシントン州で、この地域最大のシャトー・サント・ミシェル醸造所の経営に参画するようになりました。

彼がアメリカでのリースリングワイン造りに情熱を注ぐのにはこのような理由があります。

「アメリカですばらしいリースリングワインを造ることが出来たら、アメリカの人々はリースリングの良さを見直し、ファンになってくれると思う。そしていつしかオリジナル=本家本元のドイツ・リースリングにたどり着いてくれると思うんだ。」
彼にとって本家本元、つまり“オリジナル”とはモーゼルで育つリースリングを意味します。
「リースリングには長く培われてきた伝統があったけれども、僕はいまこそリースリングのルネッサンスが必要だと思っている。」

職人気質でありながらもプレゼンテーションも得意なエルンスト・ローゼン氏、世界中を飛び回ってドイツのリースリングの可能性を伝え続けた結果、瞬く間に「テロワールを映し出す鏡のようなワイン」と評され、2001年「ワイナリー・オブ・ザ・イヤー」(ゴー・ミヨ誌/ドイツ)、2005年3月「マン・オブ・ザ・イヤー」(デカンター誌/イギリス)に続いて、9月には「ホワイトワインメーカー・オブ・ザ・イヤー」(インターナショナル・ワインチャレンジ・2005/ロンドン)に選ばれました。

ドイツワインが世界中で再評価されることになった「リースリング・ルネッサンス」の立役者とも言われ、ドイツのみならず、世界中でもリースリングのカリスマとして称えられています。

 
 

 

 


エルンスト・ローゼン氏
世界80か国以上を飛び回る、世界中にファンを持つリースリングマイスター。ドイツのみならず世界各地に9つの会社を持つ大社長。1万本以上のブルゴーニュワインコレクターでもあります。自身に満ち溢れた佇まいで、人を感動させることに長けたエンターテイナーな一面もあります。

GGシリーズ



エルンストさんの曽祖父の時代、モーゼルのリースリングは1000Lの木樽で長期熟成させた辛口リースリングが名を馳せていました。品質の良いものは樽で20年以上も熟成させていたとか。かつてのレシピを手に入れたエルンストさんは、醸造所を継いで間もなくヴェーレナーゾンネンウーアの辛口を1樽拵え、そのレシピで20年以上樽熟成させたものを2004年にテイスティング。酸化のニュアンスは全くなく、素晴らしい熟成をしていたことから、かつてのレシピでモーゼルの辛口リースリングを復興させることを決意。2008年からGG(グローセス・ゲヴェックス=辛口の特級畑ワイン)シリーズをスタートさせました。樹齢100年以上の自根の、貴腐菌のついていない健全なぶどうのみを使用し、大樽で熟成させる(バトナージュはしない)ことをルールとしています。

GGシリーズは大樽で1年、瓶で最低1年熟成させてリリース。

GGR(グローセス・ゲヴェックス レゼルヴェ)シリーズは大樽で2年、瓶で最低3年熟成させてリリース。

※GGRはVDPの正式な格付けではなく、ドクター・ローゼン醸造所独自のもの

 

代表的な畑

ドクター・ローゼン醸造所は中部モーゼルの特級畑をいくつも所有し、畑ごとのわずかなテロワールの違いを見事にワインに表現しています。

     

【Graacher Himmelreich グラッハー ヒンメルライヒ】

「天国」を意味する特級畑。青色粘板岩土壌。ヴェーレナー ゾンネンウーアの隣に位置します。少し表土が厚めで保水性が良い畑。若いうちは非常に力強く、熟成を経て真価を発揮します。優しいフルーツのトーンで、果実味が強く出過ぎないため如実に土地の味わいが感じられるシリアス&フルーティなワインなリースリングになります。「天国にも昇る心地のワインになる」By.エルンストさん

 

【Wehlener Sonnenuhr ヴェーレナー ゾンネンウーア】

「日時計」を意味する特級畑。石がちな青色粘板岩土壌。その名のとおり、畑の山頂部に日時計が設置されています。

表土は薄めで、より水分ストレスがかかってぶどうが濃密になり、白桃を思わせるようなフレッシュでフルーティなリースリングワインが生まれます。若いうちから楽しめますが、熟成にも耐えうるポテンシャルがあります。また、ほかのこの畑の所有者はゾンネンウーアのリースリングを甘口に仕上げているため、ドクター・ローゼン醸造所のGGシリーズのゾンネンウーアは唯一の希少な辛口ワインになります。

【Ürziger Würzgarten ウルツィガー ヴュルツガルテン】

「薬草園」を意味する特級畑。赤い粘板岩と火山岩土壌で、遠くから見ても真っ赤な畑。土壌中に鉄を多く含みます。独特のスパイシーな味わいが生まれることから、その名がついたと言われています。この畑のリースリングが熟成すると、独特なカシスのような風味が感じられます。エルデナー トレプヒェンのすぐ上部に位置しますが、全く異なる味わいが楽しめます。

モーゼルならではの古木

モーゼルはフィロキセラが入ってこなかった地域のため、樹齢100年を超える接ぎ木なしの自根の樹が数多く残っています。そういった古木のいくつかは斜面の土壌流出の力に押されながらも、天に向かって伸びようとするため、
湾曲していることも多く、急斜面のモーゼルならではの独特な形をしていることも珍しくありません。
また、樹齢が100年をも超えると、収量が圧倒的に落ちるかわりに高濃度の果汁になり、
皮も分厚くなるためにぶどうが貴腐化しづらくなるというメリットもあり、素晴らしいワイン造りに欠かせないものとなっています。






収穫の様子

収穫の際は3つのバケツを用意して、収穫したぶどうを3つに選別します。
黒いバケツには辛口ワイン用に、貴腐ぶどうのついていない青いぶどうを入れます。
赤いバケツには甘口ワイン用に、良く熟したぶどうを入れます。
そして小さな白い入れ物には貴腐ワイン用に貴腐ぶどうが入れられます。

 

 

醸造所
ワイナリー内部
ワイナリー外観
写真

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