Heinrich/ Neusiedlersee
ハインリッヒ/ ノイジードラーゼ地域
ハインリッヒ/ ノイジードラーゼ地域
ハンガリー国境近くの湖、ノイジードラーゼーの周囲は発生する霧の影響もあり、貴腐ワインの産地として知られています。ハインリッヒ醸造所はそんなノイジードラーゼー北部の村ゴルスにあり、そちらで最先端の赤ワインを作り続けています。ご当主ゲルノットさんが20代のときに祖父から1haの畑を譲り受け、気候条件や土壌から赤ワインに可能性を感じて、周りの生産者が白ワインや貴腐ワインばかりに注力する中、ブラウフレンキッシュやツヴァイゲルトを植え、独自の路線を突き進みました。当初は樽で熟成させたフルボディタイプの赤ワインが世界市場でも伸びていたこともあり、彼の赤ワインは大ブレイク。醸造所周囲の畑と、ノイジードラーゼーの西側に広がる丘陵地帯であるライタベルクの畑を買い足し続け、ついに1haのスタートから100haにまで拡大しました。大成功を収めた彼は2008年に地下何層にもなる醸造設備を増築し、オーストリア一美しいと言われる醸造所が誕生しました。 近年、土地の味わいを色濃く反映させるためにエレガント路線に転向し、一時カベルネ・ソーヴィニヨンなどの国際品種を多く生産していましたが、ブラウフレンキッシュやツヴァイゲルトへの原点回帰とともに、とても柔らかく上品なワイン造りになっています。
氷河期時代にドナウ河はこのあたりを流れていたことから、ドナウ河が運んできた砂利や粘土などが構成する土壌になっています。比較的肥沃な土壌が多く、黒ぶどうが中心に植えられており、芳醇なワインが生まれます。
(左奥がワイナリー)
アルプス山脈の東の端にあたる、小高い丘のようになっている産地。遠くに見えるのはノイジードラーゼー(湖)。こちらは石灰岩、シストといった、石がちな土壌になっています。白ぶどう、黒ぶどうが植えられており、塩っ気を帯びたミネラルを感じるエレガントなワインに仕上がります。
テロワールの表現方法としてたどり着いたのがビオディナミでした。主に湖の西側のライタベルクの恵まれた土壌を表現すべく、畑の緑化、完全な有機栽培、無濾過無清澄、酸化防止剤無添加(もしくは少量添加)のワイン造りを年々増やしてきました。その結果として、陶器ボトルが印象的なオレンジワイン、グラウエフライハイトがDecanter誌の世界のオレンジワイン特集において最高得点、実質世界一のオレンジワインの名を手にしました。また、2021年から造り始めたペットナットは、初リリースでオーストリアのワイン雑誌Vinariaにおいて、ペットナット部門で1位を獲得。その勢いはとどまるところを知りません。
年々アンフォラでの熟成に移行しており、ワイナリーには100器以上もあります。木樽熟成とは違う、独特の質感のワインが生まれます。
近未来的なワイナリー
(写真左から)
ワイナリーに入ってすぐの豪華なテイスティングルーム。
強化ガラスの下はセラーを見下ろせる、圧巻の構造になっています。
地下3層になっており、重力に逆らわないグラビティシステムを採用しています。
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