大田黒のドイツ滞在記vol.4~「春から夏にかけての畑作業」~
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皆さんこんにちは。
今回もドイツのフランケン地方、ビュルクシュタット村のルドルフ・フュルスト醸造所で研修中の大田黒がお届けします。
雨も多くなかなか暖かくならなかった春が終わり雲一つない快晴の日が続いています。
畑ではぶどうの花が満開を迎え、ほのかに甘く上品な香りが漂います。
春から夏に向けて気温が上がり出すと5月までにしっかりと雨が降った分、ぶどうの芽はぐんぐんと成長して1日に5~10センチほども伸びます。
早く成長するぶどうに急かされるように、畑には多くの人が導入され次々に仕事を進めています。
現在行っている作業は主に以下の4つ
①新芽の芽かき
(霜用の枝を切る作業以外の)最初の収量制限でぶどうの生育に関わるとても重要な作業です。
ここで各ぶどうの樹の生育スピードと収量を管理し、同時に風通しが悪くなり湿気が溜まって病気になりやすい状態にならないようにします。
②伸びた新梢を張られたワイヤーの間に入れていく作業。
列に対して並行に2本ワイヤーが貼られています。
その間にぐんぐんと伸びた新梢たちをそのまま伸びて重くなり、倒れて折れてしまったりしないように2本のワイヤーの間に丁寧に入れて行って、ぱっと見プラスチックのとうもろこしからできた(土に帰ります)クリップで2本のワイヤーで新梢を挟むように固定します。
③新しく植えた&若い苗木のケア
新しく植樹し直す畑や、畑の中に枯れてしまった樹がある場合は新しく苗を植えます。
新しく苗を植えた場合、古木と同じようにとはいきません。
もちろん根もまだ浅いため、周りの雑草等に貴重な水分を持っていかれたり、土壌が硬すぎて根がうまく張れず成長できなかったりしないように苗の周り30〜40センチを耕します。
また、芽かきを行い1〜2つの芽に抑えることでエネルギーの分散を防ぎ成長を促します。
ぶどうの芽が大きく伸びてきた場合は支柱に固定して上記と同じく倒れないようにまっすぐ伸ばしてあげます。
植えたばかりの苗から伸びる芽は、もちろんまだ低い位置にありうさぎに齧られ、枯れてしまう危険すらあります。そのため筒状のネットで守ってあげます。
④べと病等の病害対策
先数日雨が降らないと予想できる日に自然由来の銅やカリウム等を畑に散布します。
これも葉っぱがどんどん増えて病害にかかってしまってからでは遅いので早めにしなければ意味がありません。
よくオーガニックが…と気になる方もいるかもしれませんが、よほど湿気が気にならない環境もしくは、Piwi(Pilzwiderstandige Rebsortenカビ耐性品種)でもない限り必ず必要な工程で害はありません。
主に以上が春の畑仕事の内容ですが、ぶどうの成長との勝負ですので意外と春も忙しいです。
高品質なワインを作るにはやはりとてつもない作業量と人が関わっているのだとつくづく実感します。
その一人一人が日焼けや腰痛、疲労と闘い、それでも出来上がるワインのために汗を流し続けていると思うと本職のインポーターとしては無碍にはできません。
日本の皆さんにこの背景と共に素晴らしいワインを早くお届けしたいのですが、まだまだ引き続き学んできます。
次回もお楽しみに!