ゼクトと黒豆と私

みなさんこんにちは。
2022年もヘレンベルガー・ホーフをどうぞよろしくお願い致します。
新年最初のスタッフブログの担当は高橋です。
どうぞ最後までお付き合いください。
お正月はみなさんゆっくりお過ごしでしたか?
美味しいものをたらふく飲んで食べて寝て、また飲んで食べて寝てのエンドレスループを繰り返したかたも多いことでしょう。
わが家ではなるべくお店で買ったもので無いおせちを新年の宴に出そうと、毎年準備に苦労するのですが、お煮しめは作るのにむちゃくちゃ手間がかかるくせに絶望的にちびっ子に人気が無いので、今年はおせち一軍リストから外しました。
しかし、手間と時間を惜しんででも作りたいものがあります。
そう、黒豆煮です。
丹波篠山産黒豆枝豆への愛は以前のブログに書きとめた事がありますが、乾燥豆をコトコト煮た黒豆煮への愛も、歳を重ねるごとに高まってまいりました。
「売ってるやつはちょっとしか入ってないのに高いし〜、そんなん別にいらんわ〜」と思っている人も多いことでしょう。
正直私も、高いしいっぱい食べるためには自分で煮込んだほうが安いなと思ったのが、そもそも作るきっかけでした。
だが言わせていただきたい・・・手間ひまかかってるから高いんだよバッキャロー!
圧力鍋で時短する方法もありますが、私はコトコト派です。
今年は土井善晴先生のレシピを参考にさせていただきましたが、冒頭に『調理時間 /510分 *黒豆を戻す時間、煮上がってから含ませる時間は除く』とあります。
この『戻す時間~』の所にはそれぞれ一晩くらい置く時間がひそかに隠れていますので、実質1470分くらいじゃないでしょうか。
この時点で心が折れそうですが、つやつやの柔らかい黒豆をたらふく食べるためには避けては通れません。
黒豆の色合いを良くするためにさび釘を一緒に入れて煮込みますが、我が家は納屋から出てきたチェーンの切れ端を一緒に入れます。何だかガンガン鉄分出してくれそうで頼もしい限りです。
こんな時に限って出汁袋が切れてしまっていたので、何かガーゼみたいなものはないかなぁと探していたら、そうだ!あのマスクがあったんだ!と思い出しました。
せっかく頂いても、私の規格外の大きな顔にはしっくりこなかった為なかなか使うチャンスがありませんでしたが、違った形で有効活用させていただき感謝です。
煮汁とともに一晩寝かせてもどした豆を、煮立たせあくを取ったのち、ゆっくりゆっくり弱火で8時間。
冷ましてまたゆっくり味を含ませたらようやく完成です。
歯茎で噛めるんちゃうかと思うほど柔らかく仕上がりました。
しっとりとした甘い黒豆はゼクトにもよく合います。
映画の世界のパーティーでは優雅に“シャンパンとイチゴ”ですが、ノンノンノン!
正月は“ゼクトと黒豆”ですよ!
豆をつまみにお正月番組をこたつでだらだら観るのは至福の時です。
関西の春を告げる風物詩として有名なもので、『いかなごのくぎ煮』という稚魚を甘辛く炊いた佃煮があります。
このくぎ煮を大量に作っては、誰にも頼まれてもいないのに、毎年近所や友人に配ることを何故か使命としている『くぎ煮おばちゃん』というのが、関西の随所に存在します。
実は今回の私の黒豆、年末に仕込んだものの色合いが思うようにのらずどうしても納得が出来なかったので、お正月にもう一度約1470分かけて追加で炊きました。
誰にも頼まれていないのに。
私が冬を告げる風物詩『黒豆おばちゃん』になるのも時間の問題でしょう。
ヘレンベルガー・ホーフ 高橋