HOME > ヘレンベルガー・ホーフ株式会社‐ドイツワインの輸入卸 > 2022ヴィンテージ情報!~アール、バーデン、フランケン、ミッテルライン、ナーエ編
ドイツワイントピックス
2022/11/09

2022ヴィンテージ情報!~アール、バーデン、フランケン、ミッテルライン、ナーエ編

ヘレンベルガー・ホーフ株式会社‐ドイツワインの輸入卸

こんにちは。大田黒です。

早いもので2022年もあと2か月を切り、読んでいただいている皆さんも繁忙期に入る方が多いのではないでしょうか?

 

ドイツ現地のワインの生産者さんたちは、収穫を終え醸造に取り掛かっている最中です。

収穫を終えたということは、もちろん今年のぶどうの出来つまりヴィンテージの特性の情報がつぎつぎと入ってきています。

 

ということで今回の「ドイツ2022ヴィンテージ情報まとめ(前編)」を今回のテーマとします。

 

 

先述の通り、北半球でのぶどうの収穫は秋です。

ドイツでの大半のワイン用ぶどう(貴腐、アイスワインを除く)の収穫は8月下旬~11月前半に行います。

近年、温暖な年が多く収穫時期は依然と比べ早くなっている傾向にあります。

 

今ヴィンテージを一言で表すと、「暖かく乾燥した年で地域によって大きな差があるものの、ぶどうの出来は非常に素晴らしい年です。

 

「一言ちゃうやんけ」と思われたかもしれませんが、生産者さん曰く総じて大満足の素晴らしい年とのことです。

 

地域によって大きな差がある要因として、暑い日が続いただけでなく雨が少なかったことによる畑の乾燥があります。

2022年は前々回のドイツワイントピックスでお伝えしたように、旱魃で生活すら脅かされた村があるほど雨の少なかった年です。

 

一部の地域でぶどうが日焼けしてしまう被害がでました。また、ぶどうの樹の樹齢の若い畑では、乾燥による被害が出てしまったようです。
ドイツの中でも涼しく旱魃が激しくなかった地域は、温かい年の恩恵を受け、最適なタイミングで理想的な酸度と香りを持った非常に良い状態のぶどうがたくさん収穫できたということでした。

 

 

~2022年ドイツ全体の大まかな流れ~

 

4~5月:暖かく遅霜の被害などは見受けられなかった。5月の初旬には、暖かさが増しぶどうの成長が一気に促され、新梢や葉がみるみる伸びていき対応に追われる。

 

6~8月:雨が降らなかった期間が長く、2018年同様暑い日が続いたため、熟度が早く上がり収穫も8月20日前後から収穫を始めた生産者もいる。

     (GG(特級畑)や、エアステラーゲ(1級畑)の多くが本来ぶどうの生育に理想的な条件が整っていることもあり、他の畑よりも比較的早く収穫された)

9~10月:秋に入り少し雨が降ったため適切な収穫時期を見極める必要があった。

(この雨は、もともと激しく乾燥した年であったため問題にはならなかった)

 

 

~地域別ヴィンテージ情報~

 

◆アール地方


2022年のクロイツベルクさんのぶどう

2021年多大な洪水被害をうけたアール地方ですが、畑のほとんどが谷の斜面に位置していて土壌も硬いため、斜面下部の一部を除いて無事でした。

そして、去年の不運を晴らすかのように夢のようなとても恵まれた年だったようです。

旱魃が激しかったとされる2022年ですが、アール地方では、初夏の時期にまとまった雨が降ったことで、旱魃を乗り越えることができました。

それでも夏の終わりころに乾燥の影響が出ないか気にはなったそうですが、結果最高の条件下で収穫できました。

クロイツベルクさん曰く、「素晴らしいアロマとフレッシュさがあり、醸造前から飲むのが楽しみ」ということです。

 

◆バーデン地方

2022年のフーバーさんのぶどう

ドイツの中でも温暖なイメージのある地方ですが、やはり旱魃、日焼けには苦しんだようです。特に土壌の表土が少なく石だらけの水はけのいい畑が一部被害を受けました。

しかし、被害は全く大きくなく、たとえばフーバーさんの畑での被害は、5%ほどに留まったようでほとんどのぶどうが信じられないほど美しく、熟した健康な状態で収穫できたそうです。フーバーさんを始め、ヴァスマーさんやトラウトワインさんも口々に今年はぶどうの出来がいいからワインになるのが楽しみだと言っています。

 

◆フランケン地方



2022年のフュルストさんのぶどう

ジルヴァーナー種から造る辛口白ワインが有名な産地だったり、そんな中に赤ワインのパイオニアと呼ばれる孤高の存在がいたりとドイツの中でも珍しい産地ですが、そんなフランケン地方からも大満足の声が上がっています。

雨は少なかったものの収穫を迎える時期には、ぶどうの酸度、アロマ、複雑さにおいて理想的でかつ、秋の雨の前に収穫できました。とある生産者さんは、樹齢の高い樹は普段管理が大変だが、今回の乾燥には非常によく耐えたと話しています。

フュルストさんも「質、量ともに最高の年」とのことでした。

 

◆ミッテルライン地方


2022年のラッツェンベルガーさんのぶどう

ミッテルラインでは、品種によって違いのある年になったようです。ミッテルラインはリースリングがメインの産地ですが、ピノ系品種も作っています。ピノ系品種は、比較的乾燥に強く収量が十分にとれたそうです。

しかし、リースリングにおいては、畑の水分量が反映されやすい品種で収量は少なくなったそうですが、収穫したすべてのぶどうが素晴らしい成熟度とアロマを持ち満足な出来だそうです。

ラッツェンベルガーさん曰く「今年のような乾燥した年は、畑の雑草が土壌に水分を蓄え乾燥を防いでくれます。このような中、熟度の高いぶどうで素晴らしいワインを造るには、サスティナブルな手法で乾燥に対応することが重要です。」とのことでした。

 

◆モーゼル地方


2022年のDr.ローゼンさんのぶどう

一部の畑の気温が40度を超えるなど、不安な話がありましたが結果素晴らしいぶどうが収穫できているようです。モーゼル地方の特徴の一つとして、接ぎ木していない自根の樹齢の高い樹が比較的多く植えられていることがあります。例えば、Dr.ローゼンさんの特級畑では、樹齢100~120年のリースリングが植わっています。

この樹齢の高さによって若い樹に比べ必要な水分量が少ない上、ぶどうの根は地中深くに根が張り、そこにある水分で乾燥による影響を防ぐことができたようです。適度に凝縮した素晴らしいぶどうが採れたとのことです。

 

◆ナーエ地方


2022年のクルーガー・ルンプさんのぶどう

5月にたくさん雨が降り、ぶどうが急激に成長しその後、3か月にわたる旱魃によってナーエの生産者さんたちは多大な心配をされたようです。
結果、収量を的確に制限してしっかりと選果をすることによって、最良のぶどうが収穫できたようです。

 

 

このまま続けるとあまりに長い文章になってしまうので、残りの生産地域はまた次回のドイツワイントピックスでお送りいたします。

総じて2022年はGG畑のような恵まれた環境と樹齢の高い樹からワインを生産する生産者さんにとっては、大満足の最高の年のようです。
2022年の割当の欲しい私からするとよりうれしい情報です。(笑)

次回は、ファルツ、ラインガウ、ラインヘッセンを中心にお送りします。

是非次回もご覧ください♪