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ドイツワイントピックス
2023/10/18

大田黒のドイツ滞在記vol.8~「2023年のドイツワインはどんな年?」~

ヘレンベルガー・ホーフ株式会社‐ドイツワインの輸入卸

今回もドイツから大田黒がお届けします。

10月6日に約1ヶ月続いた収穫を終え、収穫後の後片付けや、若木の植っている畑のケアなどをしています。

 

今回は、テーマの通り「2023年が一体どんな年だったのか」をお話しします。

おそらくドイツのヴィンテージ情報としては、どこよりも詳しいかと思います。

 

余談ですが、ヴィンテージを話題にする際は、主に春にぶどうの樹の成長が始まったタイミングからぶどうの収穫までの期間ですので一般的にも4月頃〜9月頃のたった半年の中での気候などのお話になります。

※アイスワイン等の収穫が1月くらいの真冬になる場合は除きます。

 

今年は収量としては、平均的な年で品質面では的確な判断を行なった生産者さんに取っては良質なぶどうの収穫できた年でした。

 

以下月ごとにお話しします。

 

◆4月



発芽が始まる時期です。

ピノや、シャルドネなどの成長が比較的早い品種で標高の低い畑の一部の畑での遅霜の害が出ましたが被害は大きくなく影響はほとんどありませんでした。

 

◆5月



発芽した芽がゆっくり伸びていきます。

雨が多い月でした。5月の雨はぶどうの樹が成長に必要な水分を土壌に蓄えられるため、とても良い年になる兆候と言われています。バーデンの一部で雹が降り、生産者さんによっては新芽が折れてしまい収量減の原因に。

 

◆6月



開花が始まり、ぶどうの実が形成されていきます。

ぶどうの花が咲くと風に花の香りが乗り、甘い優しい香りが漂います。

2023年は、開花から結実までが非常に上手く運び、多くの収量が期待できました。とても暑く、新芽が一気に伸びていきました。日によっては1日に10〜15センチも伸びます。

 

◆7月・8月





結実した実は少しずつ膨らんでいき、糖分を蓄えていきます。黒ぶどうは色づき始めます。6月とは真逆に7月は、例年よりも気温が低く秋のような気候でした。そして7月下旬頃から8月中旬にかけてやや多めの雨が降りました。8月後半には暖かさを取り戻しました。

8月の末にラインヘッセンの一部でまたしても雹が降り、ぶどうの実が失われてしまいました。前述の通り開花がうまくいった分、実を多く付けるので、適度な雨は良いですが多くなると膨らんだ実同士が押し合い、破裂してカビや、虫を呼んでしまいます。

ですので、私がお世話になっているフュルスト醸造所では通常、醸造所で収穫の準備をする機関に対策として7月後半から8月に大量のぶどうを切り落として対策しました。

 

◆9月



ほとんどの醸造所が9月初旬に収穫を始めたかと思います。

収穫時は、好天に恵まれ暖かく良い天気が続きました。

収穫までに収量のコントロールをしっかり行ったことで、収穫時に細やかなぶどうの選定は必要だったものの収量は開花とぶどうの選定によって差し引きされたことによって平均的で、結果として素晴らしいぶどうが収穫できました。

ぶどうが熟し始める前の判断と作業量が特に問われる年だったと言えるかと思います。

私の研修させていただいている今年は、気候的にもタイミング的にもかなり作業量が多い年だったそうで、いい経験ができた半年間でした。

 

2023年を簡潔にまとめると、「収量の少なかったが、力強く良質な2021年と比較するとやや暖かいヴィンテージ」と言えるかと思います。

 

何よりどんなワインになるのか今から楽しみです。

 

フュルストさんのワインは現在、おかげさまで弊社ではほとんど品切れ状態ですが、11月には新しい2021年が入荷予定です。

 

どのワインかはまだ秘密ですが、とあるドイツのトップ生産者さんが、「おそらくフュルストの歴史の中でも最高傑作だろう」と絶賛したワインもこの2021年に入っています。

 

今回もご覧いただきありがとうございます。

2021年のワインもお楽しみに!

 

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是非ご覧ください。

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