トロッケンとハルプトロッケン



ドイツワインのラベルにtrockenやhalbtrockenという文字が表記されていることがあります。
ドイツワインファンの方ならご存知でしょう!
trocken(辛口)、halbtrocken(やや辛口)という意味で、この表記があることでそのワインが残糖値の低いワインとわかるわけです。
ただ、ワイン法上のラベル表記義務はありません。
以前輸入したワインでシュペートレーゼの辛口ワインが有りました。しかしtrocken表記が無く、売りづらかったのを覚えております。
trockenは英語でいうdryドライで、同じく「乾いた」「干からびた」「辛口の」という意味があり、halbtrockenはhalf dryハーフドライ(セミドライ)で半分辛いわけです。
昔弊社が借りていたフライブルクのアパートの地下にはトロッケンルームなる部屋があり、夜に洗濯したGパンを脱水せずにその部屋に持っていくと、翌朝にはパリパリに乾いており、結構重宝したことがあります。
この場合は「乾燥室」ですが、この「乾いた」「干からびた」「辛口の」の直訳が、あるワインにとって少しわかりにくくなっている場合があります。
そうです!
世界三大貴腐ワインの一つ、
「トロッケンベーレンアウスレーゼ」です。
その時期の天候によりぶどうにカビ菌が付き、その菌がぶどうの表皮を薄くし、水分が飛ばされ見た目には腐っているようなみじめなぶどうになるのですが、この干しぶどう状態のぶどうからエキスの詰まった甘みの強いワインが出来るのです。
(いくつか前の?ブログ参照)
「ベーレンアウスレーゼ」は貴腐ワインの房選りで、「トロッケンベーレンアウスレーゼ」は粒選りと解釈してください。
ここでの「トロッケン」とは?
そうです。
「干からびた」という意味です。
「干からびたぶどうから造られた極甘口のワイン」です。
決して「辛口のベーレンアウスレーゼ」ではありません。
では、「辛口のベーレンアウスレーゼ」は何と言うのか?
「ベーレンアウスレーゼ トロッケン」です。
そんなワインって有るのでしょうか?
有るのです!
というか、見たことがあります。
でも、飲んでません。
そもそも自然が大きくかかわり収穫できた極甘口の果汁を辛口にする必要があるのでしょうか?
甘みが強すぎてなかなか発酵しないでしょうね。
きっと幾度かの酵母投入によって長い時間をかけて発酵させたのでしょうね。
造り手の遊び心で、挑戦したのでしょう。
徐々にタイトルから脱線してきましたが・・・。
もう一つ、20年ほど前から「繊細な辛口」「上品な辛口」という意味合いの「feinherbファインヘルプ」という表記が出だし始めました。
一般的にはhalbtrocken(やや辛口)と同義語で使われていることが多いですが、ワイン法上における規定はなく、極端なことを言えば甘口に使おうが自由です。
単純にhalbtrockenハルプトロッケンというよりもドイツ人にとって「響きが良い」というかきれいな言葉らしく、halbtrockenが中途半端でマイナスイメージに聞こえるようです。
お知らせ
唐突ですが、私、岡本圭司は本日をもちまして定年退職いたします。
1992年7月、39歳で入社し四半世紀ちょっと。
つらいことも楽しかったことも多々ございましたが、皆様の厚いご支援に支えられたあっという間の25年間でした。
今後は大好きなヘレンベルガー・ホーフ社、ドイツワインにまだまだ関わりたく、非常勤ではございますが出社する予定です。
皆様、今日まで大変お世話になりまして誠に有難うございました。
どうかいつまでも弊社を愛してくださいますよう。
そしていつまでも美味しくワインが飲めますよう、お身体にお気を付けて!
感謝!!!
岡本圭司

ユリアン・フーバー氏もお祝いしてくれました。
大学時代の友人のお店「法善寺横丁・誠太郎」にて