スタッフブログ
2018/06/13

手のひらにのる宇宙

ヘレンベルガー・ホーフ株式会社‐ドイツワインの輸入卸
みなさんこんにちは。
今回の担当は、梅雨入りでくせ毛がチーリチリの高橋です。
今日も長いですよ。
途中で諦めずに、どうぞ最後までお付き合いください。
 


先日ドイツのワイナリーを訪問させていただきました。
私たちが取り扱う生産者のワイン産地を、一気にズバーーンとめぐる贅沢なツアーです。

情熱溢れる造り手の話を聞き、新緑でいきいきとした初夏の畑を眺めながら、自分が今まさに立っているその土地で生み出されたワインを味わうのは格別のうまさです。


味わいを知るだけではなく、地域ごとの特色をしっかりと体感できる貴重な学びの機会でもあります。
各地域の土壌の違いを語るうえで必要な資料として、私は訪問するたびにぶどう畑の石を採取しています。


ケステン.jpg

 
しかし毎度のことですが、しっかり採取場所を書かないまま、何個も何個も似たような包みに入れて無造作にスーツケースに突っ込んで、次の地域に移動するのを繰り返していると、どれがどこの畑だったのか全く分からなくなり、結局庭の植木の囲い石なんかになってしまうのがオチ。

今回は友人がくれたかわいいジッパー袋を用意して行きましたので、乱筆でも必ずマジックでメモするよう心掛けました。
(なぜ最初からこうしなかったんだろう・・・)


3点セット.jpg



ワイン好きにとってぶどう畑は聖地。
ですが、高校球児のように甲子園の土をスパイクシューズの袋につめて「思い出に!」みたいな感じで畑の土を持って帰ってはいけません。

土のついたものや、遺跡や保護区のものは国外へ持ち出してはいけないので、旅先では注意が必要だそう。
 
 
ですのでツアー最終日の夜は、ホテルでこの土との格闘が始まります。
おちおち眠っていられないのです。

超極細毛の歯ブラシでしっかりと土を払い、さらにきれいに洗い流すと、なかには女性が化粧を落とした時くらい、「おぉ・・・お前、そんな顔をしていたのか」と驚くほどまったく別人になる石もあります。


石.jpg


しかし畑の石は面白い。
場所によっては何億年という時間の流れを見つめてきた証人なのだ
モーゼルやラインガウなどの地域の、幾重にもなるミルフィーユのような粘板岩は、その層を1mm形成するのに1000年を超える年月がかかると聞いたことがある。

「1mmというとー」、と石の厚みを量ろうかと思ったけど、あまりにも壮大過ぎるのと面倒くさくてやめた。
細かいことは専門家に任せておくとする。


何だかわからないがすごいぞ粘板岩!
とにかく壮大である。
まさに手のひらにのる宇宙だ。 
洗うぞ、ぅおぉぉぉぉぉ(=_=)←早く寝ろ


こんな感じでドイツの夜は更けてゆくのでした。
 



それにしても地球や宇宙レベルに思いを馳せると、比較対象が偉大過ぎで、人間の日々の悩みやごたごたなんてものは、何だかとってもちっぽけに思えるものです。
 
 
たまに友人が恋愛の悩みで「もうあかん、苦しい、死にそう」と相談してきた時は、この宇宙レベルの話を引き合いに出して、「死なへん、死なへん」と諭します。
 
だいたい他人の恋愛に関しては、お互い強気で無責任なものである。
 
 
考えてもみなさいと。
この大~~~~~~~~~~~きな宇宙の中で、
あなたの悩みなんか、こんっっっなめめくそ(めやにの方言)みたいなもんやと。
今日も元気でご飯がうまい!
健康に感謝!!
乾杯!!!
解散!!!!

とお決まりの文句でお説法する。

 
やや乱暴なミサではありますが、悩める子羊もいちいち悩んでいるのが馬鹿らしくなって、何だか開き直って他の話題で盛り上がり、喋るだけ喋ってすっきりして帰るのだ。
宇宙規模で考えると、大概のことは乗り越えられるものである。


 
いやーしかし Emergency,Emergency
乗り越えられない壁がある。
 
お昼ごはんタイムまであと20分。
智子空腹で死にそう。
ここ30分くらいできっと激やせした。
もう煮ても出汁も出ないくらい干からびている。
このまま気を失いそうになったら、赤ワインで「腹減った」とダイイングメッセージを書くだろう。


私にとっては耐え難い宇宙規模の悩みである。




ヘレンベルガー・ホーフ㈱ 高橋智子