今回もドイツから大田黒です。
皆さんは、ドイツのシャルドネを飲んだことがありますでしょうか?

シュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)同様、「ドイツのシャルドネ」と一言にまとめることは決してできませんが、総じて非常に高い評価を受けています。
近年、驚くべき品質のドイツのシャルドネが世の中に出てきています。
そして、悲しいことにその途轍もない品質のシャルドネの大半が生産量が少なく手に入りづらいのです。
今回はなぜドイツの著名生産者さんのシャルドネが手に入りづらいかに焦点を当てたいと思います。
①実は、ドイツでシャルドネが認可されたのは最近
ドイツでシャルドネが認可されたのは1991年で今でもそうですが、どちらかというとシャルドネというよりもヴァイサーブルグンダー(ピノ・ブラン)が多く生産されていました。
認可された後も、慎重なドイツ人はキャラクターと性質の似たヴァイサーブルグンダーの区画にシャルドネを植え替え試験的に作っていきました。
※地域によって認可された時期が異なります。
ですので、現在もシャルドネの区画の横の畝がヴァイサーブルグンダーだったり、以前はヴァイサーブルグンダーにシャルドネが少しブレンドされていたりしました。
現在もシャルドネの植樹の量は多くなく、基本的な生産量がまだまだ少ないのです。
②害獣や病気の被害に遭いやすい
シャルドネは、ドイツのぶどう品種の中でも比較的ぶどうの成長が早いです。
そのため、霜のリスクが高い春の早い時期にはすでに発芽してしまっており、霜の被害を受けやすく、芽にはマスカットのようなアロマティックな味わいがあり特に鹿に好まれます。
元々、小さな畑にも関わらず、年によっては大半が霜の害を受けてしまい生産がゼロという状況すらありえます。
③需要が高い
ドイツのシャルドネは以前は、知る人ぞ知るものでしたが、2014年から醸造所を引き継いだバーデンのユリアン・フーバーさんの造るシャルドネがドイツのシャルドネが世界から注目を浴びるきっかけとなりました。

昨今のフランスワインの高騰化、温暖化も多少後押しとなり、ドイツの上級シャルドネは生産量は少ないもののプロを中心に世界的な人気を誇っています。
シャルドネは、収穫期の見極めが非常に重要な品種のうちの一つです。
畑の環境だけでなく、畑作業、収穫時期、醸造によって様々な表現がなされる品種です。
現在、私がお世話になっているフランケン地方のルドルフ・フュルスト醸造所も、高品質なシャルドネを造っており、同じく恐ろしく生産量も少ないものとなっています。

今後生産量を増やしていくために苗木を植えてはいるものの、その苗木がトップレンジのシャルドネRに使用されるぶどうになるのは15年〜20年先も話です。
著名生産者さんのシャルドネは、これから先もしばらく希少なものには変わりなさそうですが、まだドイツのシャルドネを飲んだことのないという方、見かけた際は是非お試しください。