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ドイツワイントピックス
2025/12/17

ブドウの接木(つぎき)とは? ~ドイツ・フュルスト醸造所で学んだ実践例~

ヘレンベルガー・ホーフ株式会社‐ドイツワインの輸入卸

皆さん、こんにちは。
大田黒です。

フュルスト醸造所での1年間の研修中、いつも丁寧に教えてくれたのがフローリアン・エーレンバッハさんです。
研修期間を通してスタッフの方々はもちろん、ほかの研修生からも多くのことを学びました。
改めて――ダンケシェーン、フローリアン!

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今回はその学びの中から、「接木(つぎき)の工程を皆さんに共有します。
今回の接木は、樹齢の高いピノ・ノワール(台木)に、別のピノ・ノワールのクローン(穂木=芽)を接ぐ作業です。

接木とは?

簡単に言うと、
「元々生えている古い樹の根(台木)は活かしたまま、樹の上部を別のブドウ品種(またはクローン)に置き換える方法」
です。

古い台木の強い根を使いながら、新しいクローンの性質を持った樹に更新できるため、世界中のワイナリーで行われています。

ステップ1:植え付ける芽(穂木)を採取する


植え付けたいブドウの枝から、接木用の鋭いナイフやハサミを使って芽を切り出します。
このとき、芽の裏側(設置面)ができるだけ広くなるように薄く削のがポイント。

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特に重要なのが、切り出した面の縁にある、わずかに濃い緑色の層

これは形成層(カンビウム)で、ここが台木の形成層と密着することで接木が成功します。

ステップ2:芽を台木に挿し込む



次に、切り出した芽を古い樹(台木)に接ぎます。

  1. 台木の樹皮を少し取り除く

  2. T字に切り込みを入れる

  3. 切り出した芽をその隙間にしっかり挟み込む

  4. テープで密着するようにしっかり固定する

芽が動くと活着しにくいため、固定はとても重要です。

ステップ3:芽の下の台木の表面に傷を入れる

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「えっ、傷をつけても大丈夫なの?」と思うかもしれませんが、これは接木を成功させるための大切な工程です。

台木に軽く傷を入れることで、
・余分な水分が傷から外へ逃げる
・芽に過剰な水分が行くのを防ぐ
・結果として、芽と台木の形成層が密着しやすくなる

という効果があります。

水分が多すぎると芽が腐ったり、うまく活着しないことがあるためです。

ステップ4:芽が動き出したら、台木の余分な芽をカットする

芽が無事に出てきたら、台木側の不要な芽や枝を取り除きます。
これは、台木の成長にエネルギーを取られず、接いだ芽の成長を優先させるためです。

 

 

ただし、
台木の上の枝(サッカー)をひとつだけ残しておくことがあります
この枝が、芽が小さい間の水分や養分の流れを助けてくれるためです。

また、芽がウサギや野生動物に食べられないように保護することも大切です。

ステップ5:十分に成長したら、台木の上部をカットする

接いだ芽がしっかり育ったら、最後に台木の上部(もともとの樹の部分)を切り落とし、完全に新しいクローンの樹として成長させます。

この時点で、樹全体が新しいピノ・ノワールのクローンへと“更新”されたことになります。


いかがでしたでしょうか。

なかなかここまで画像付きで分かりやすく接木を説明しているものもないかと思います。・・・これ本当に無料でいいのかと思ってしまいます(笑)

こちらの植え付ける工程を私のインスタでリール動画としてそのうち投稿する予定です。

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