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ドイツワイントピックス
2025/09/10

【ドイツワイントピックス】もう出てくる!2023年ヴィンテージについて

ヘレンベルガー・ホーフ株式会社‐ドイツワインの輸入卸
最近、1か月の時が流れる速さを感じます。
そんなわけで今回も大田黒がお届けいたします。
 
今回は、2023ヴィンテージのドイツがどんな年であったかをテーマにします。
2023年と言えば、熟成期間を比較的短めにとるリースリングの多くは、すでに昨年リリースされていますが、ピノ・ノワールやシャルドネなどのブルゴーニュ系品種は、そろそろ現地でのリリースとなります。
日本に届くのは、年末近くでしょうか。
 
2023年は、何を隠そう私が現地で生で体験してきた年です。
私の実体験に基づいてお話しします。
 
まず2023年の春は、とても順調にスタートしました。
適度な雨と気温に恵まれ霜もほとんど見られず、ぶどうの花もきれいに開花し結実もほぼ完ぺきといえる状態でした
私が働いていたフュルスト醸造所では、パウルさんが「4月に雨が多いと例年ではすごくいい年になる傾向にあるんだよ」と教えてくれました。
それほどまでに期待感をもって始まった年でした。
 
夏の初めは暑く乾燥していました。
外で作業するのも日照りの強いぶどう畑では、とても暑く大田黒が日焼けしたのは、半分はこの時期です。
7月末~8月下旬にかけては雨が非常に多く降りました。
この雨は、乾燥していた畑に潤いをもたらしました。
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2023年大雨の中でもとにかく一生懸命ぶどうの房を切り落とし続けました。
 
7月末の時点でフュルスト醸造所のメンバーの中では、「今年は結実の状態が良すぎる。早いうちにぶどうの房を摘果しないともしかすると未熟果や腐敗の危険がある。」と話題になっていました。
 
8月は、収穫前で通常は醸造所の徹底した掃除をする時期で、収穫を待つ時期なので多くの醸造所が休暇を取ります。
 
しかし、前述にあるようにリスクを予見した醸造所では、8月に畑で徹底的に房を切り落とし続け、摘果に努めました。フュルスト醸造所では、少なくとも摘果する前の収量の半分以上のぶどうを切り落としました。
 
9月の収穫に入ると乾燥した晴天に恵まれました。
8月下旬までの雨の影響で一部腐敗したぶどうが出たものの選果を徹底して行うことで収量も例年通りで品質としても良い年となりました。
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しかし、8月に作業ができた醸造所とそうでないところでは命運の分かれた年と言えそうです。現地で、とある生産者さんは、90%の損害を被ったという話もききました。
 
ワインの品質としては、少し2021年に似通ったクラシカルであり、少し温暖な雰囲気を感じる年です。
セバスチャン・フュルストさんの奥さんであるイザベルさんのお話では、「2023年は、トラディション(ピノのエントリーレンジ)からとってもおいしいのよ!」と大絶賛。
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※2023年のシャルドネ
 
一つ注意していただきたいのは、年のキャラクターの話ですが、ドイツワインのヴィンテージにおいて、代表品種であるリースリングとピノ・ノワールの個性は、同じ年でも違うことがよくあります。
これは、主に二つの品種の生育時期の違いによるものです。
リースリングは、ブルゴーニュ系品種と比べ、晩熟で比較すると同じ地域でも収穫時期が約3週間前後違います。
こうなるとぶどうの房の状態も違ってくるわけですから、状況も変わってきます。
ちなみに、2023年のリースリングは、若いうちから開いていて華やかな印象を受ける年です。
何より、日本に来るのが楽しみです。
 
ワインは、当たり前ですが毎年違います。
年の個性、その年に対する対応、新技術の取入れ等。
是非、好きなワイナリーを見つけた際は毎年追いかけてみると生産者さんの哲学に触れられる感覚にもなれるのでやってみてください。
 
ここまでお読みいただきありがとうございます。

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