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ドイツワイントピックス
2025/08/20

【ドイツワイントピックス】苦悩のムニエ

ヘレンベルガー・ホーフ株式会社‐ドイツワインの輸入卸
今月も変わらず大田黒がお届けします。
 
今回は、「ピノ・ムニエの栽培の大変さ」についてです。
 
ピノ・ムニエといえば、おそらく第一に浮かぶのがシャンパーニュのブレンドなどでの活躍をイメージされるかと思います。
元々、ピノ・ムニエは、シャンパーニュ地方原産の葉の裏に細やかな産毛があり、粉をまぶしたように見えることから「ムニエ(粉屋)」という名前が付いたそうです。
実際現物をみると芽吹いたばかりの新葉がふわふわとした毛に覆われていて名前の由来をより納得できます。
ドイツでは、Schwarzriesling(シュヴァルツリースリング、黒リースリングの意)、Muellerrebe(ミュラーレーベ粉屋のぶどう樹の意)と呼ばれ、ヴュルテンベルクを中心に生産されています。
 
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そんなムニエの話を近年、シャンパーニュの大手メゾンのお話を聞いていると「ピノ・ムニエは、近年気候が合わなくなってきているので減少傾向にある」といいます。
ピノ・ムニエは、個性として冬の冷え込みにも強く、寒さに強い品種です。
そして、元々何より手のかかる、か弱い品種です。
そこから高品質ワインを生み出そうとするとなおさらです。
 
高品質なピノ・ムニエを栽培する際の大変な点としては、なによりその作業量の多さがあげられます。
夏頃、気温が上がり、ぶどうの樹々はぐんぐんと成長します。新梢を伸ばし、条件を満たすと1日に10cm前後も伸びる日もあります。
ピノ・ムニエは、中でも新梢を真っ直ぐ伸ばさず四方八方へ向かって伸びていきます
そのせいで、きちんとこまめに手入れをしないと重さやトラクターに巻き込まれて、折れたりしてしまいます。
ピノ・ムニエの新梢は、他の品種、たとえば手間のかかるピノ・ノワールと比べてもかなり違います。
下写真のように見た目にもはっきりと違いが出るほどの暴れん坊です。
 
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右:新梢をワイヤーに入れ込む作業が行き届いていないピノ・ムニエの畑。(写真左側)
左:小まめに手入れされた畑。
 
 
しかも、病害に弱いという難点も。ピノ・ムニエは、房の粒同士がコンパクトに詰まりやすく顆粒の破裂を招きやすい品種です。
ぶどうが糖分をため込み始めてから顆粒が破裂してしまうと、カビなどの腐敗につながってしまいます。
そのため、高品質なぶどうを得ようとすると徹底した収量制限が樹の単位ではもちろん、房単位での早期の選果がほとんどの年で不可欠になってきます。
赤ワインを生産する場合、ピノ・ムニエは、この収量制限でかなり品質が変わってきます
そのため、生産者さんの適切な判断力がより求められます。
 
特に近年ピノ・ムニエが好む冷涼産地でも、温暖化の影響があり、比較的生育の遅いピノ・ムニエでも遅霜の害を大きく受けることがあります。
例えば2024年は、区画によっては90%〜100%の被害がタウバーフランケンで発生したということです。
 
弊社取り扱いのエーレンバッハの当主フローリアン・エーレンバッハさんの話によると「ピノ・ノワールは、手間がかかるが自分のところでは、それ以上に確実に手間がかかるのがピノ・ムニエ。とのことでした。
今回のご紹介内容のほとんどが彼から教わった生の現場の声をまとめたものです。
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彼は、2020年から始めたまだまだ新興の生産者ですが、現地で高級ピノと間違われることでドイツの一部のメディアや、プロの間で話題となっている衝撃のピノ・ムニエです。
ピノ・ムニエの赤ワインは、比較的珍しいかと思いますが是非お試しください。
 
 
畑もまだ小さく、収量も異常に低いことから入荷量が少なく今年の初めに入荷分は、即完売してしまいましたが、この度再入荷しましたのでお知らせいたします。
 

 
 
2022 ライヒホルツハイマー シュヴァルツリースリング
参考上代価格:¥7,000(本体)
JAN:4262424860097
エーレンバッハ醸造所のムニエのエントリーレンジにして村名格。華やかでフィネスとエレガンスに富み、
スパイシーさを持った味わい。バリック樽にて14か月以上熟成。
 
 
 
 
2022 ライヒホルツハイマー フィルスト シュヴァルツリースリング
参考上代価格:¥12,000(本体)
JAN:4262424860110
ライヒホルツハイム村のVDP認証上、エアステラーゲ(1級畑)認証の畑でムニエとしては、
実質ライヒホルツハイム村最上級。上質なピノ・ノワールと全く遜色ないといえるほどのスケール感。
収量が僅か15hl/haのエーレンバッハ醸造所のフラッグシップのムニエ。


 

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