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ドイツワイントピックス
2025/10/22

【ドイツワイントピックス】アルフォンスさんが教えてくれたこと①

ヘレンベルガー・ホーフ株式会社‐ドイツワインの輸入卸

今回も大田黒が張り切ってお届けします!

ちょっと長いです。情報過多気味です。そして、少しマニアックです。ご注意ください。

先日、ヴィーニンガー醸造所よりエクスポートマネージャー兼3つ星レストランのソムリエ兼栽培・醸造ディレクターで、醸造所でやってないことを数えた方が早そうなくらいのスーパーマン、アルフォンス・ヴィマーさんが来日しておりました。

今回はアルフォンスさんと計5日間、行動を共にした中でヴィーニンガーさんのワインの今まで伝えきれていなかった魅力を、実際にあった質問も交えてご紹介していきます。


① ゲミッシュターサッツってなに?

そもそも、ゲミッシュターサッツはドイツ語で「混植」を指します。
簡単にいうと、ぶどう品種の混植混醸のことです。

実際にオーストリアのワイン法であるDACに「ウィーナー・ゲミッシュターサッツDAC」として登録されたのは、2013年。

ゲミッシュターサッツは、中世の時代から続いてきました。

古くは、さまざまなぶどう品種を混植することで、それぞれの品種の生育時期の違いを利用し、霜や病害などによる収量低減を防ぐためのテクニックでした。


当主フリッツ・ヴィーニンガーさん

1980年代にゲミッシュターサッツの本来の魅力に気づいたフリッツ・ヴィーニンガーさん(現ヴィーニンガー醸造所当主)は、徹底した品質管理を行い、当時商業的イメージのあったゲミッシュターサッツを高品質なワインへと昇華することに努めました。

そうやって取り組んでいくうちに、周りの生産者も追うようにゲミッシュターサッツを打ち出し始めました。

しかし当時は、ゲミッシュターサッツに特にルールがなく、畑の区画が別々のぶどうをプレス機に入れる際に混ぜたり、さまざまな手法で「ゲミッシュターサッツ」として売り出されていました。

その状況を整え、ウィーンの文化を守るべく制定されたのが前述の「ウィーナー・ゲミッシュターサッツDAC」です。

その規定は以下のとおりです。

・オーストリア認可の白ぶどう品種を使用すること
・畑に3種類以上のぶどう品種が植っており、1番比率の高い品種が50%以下、3番目に比率の高い品種が10%以上であること(制定以前の高樹齢の畑を除く)
・1つの区画を同時に収穫し、同時に醸造すること

これらの規定は、監査機関による収穫前後の点検が入ることもあります。


② 品種それぞれ熟度が違う状態なのに、同時に収穫して大丈夫?

まず、この熟度の違いもゲミッシュターサッツの魅力の一つで味わいが多層的になる要因の一つでもあります。

アルフォンスさん曰く、収穫のタイミングは、ぶどうのサンプルを畑から粒単位でランダムに約200g前後集めてきて、糖度や酸度、生理的熟成度を測ることによって平均値が算出されます。

何より、個人的に興味深かったのはゲミッシュターサッツの畑のぶどうの熟度は若木のうちは品種ごとにバラバラのようですが、樹齢を重ね樹齢約20年を越えてきた頃からそれぞれのぶどうの熟す時期が段々と揃い始めるそうです。

これは、ぶどうの樹々が成長することによって根の側根(主根から出る細かい根)同士が近づくことによって根と共生する菌類が成長を樹の成長を徐々に助けることによって、段々と違う品種同士が熟す時期が近くなっていくそうです。

ビオディナミの考え方の一つですが、実際に起きている現象だそうなので面白いですよね!

 


③ 混植というのは、畑の中で畝ごとに品種を分けて栽培している?

ヴィーニンガー醸造所の所有する区画で、畑の中で品種が区分されているのは2区画のみ。
その他のゲミッシュターサッツの畑は、さまざまな品種がランダムに植えられています。

実はここにもフリッツ・ヴィーニンガーさんのこだわりがあります。
新しい苗木を植える際、冷蔵庫内で別々に保存されている苗木をランダムに混ぜ合わせ、どれがどの品種かわからないようにします。
そして、その苗木を自分では植えず、必ずスタッフさんや自分以外の人に植えてもらうという徹底ぶり。

そのため、ヴィーニンガーさんの畑では異なる品種の樹が隣り合って植わっているのです。


④ 病害などで樹を植え替えるとき、品種はどう選定している?

基本的には、以前も植っていた品種の中から選ぶそうですが、地球温暖化の叫ばれる昨今オーストリアもその変化の影響を受けています。

植え替えの際、基本的に暖かい環境に適さなくなってきている品種を避けるようにしているそうです。例えば、生理的熟成と糖度と酸度の変化がずれてきていたり、ぶどう自体が酸の保持ができなくなってきている品種などが挙げられます。

ヴィーニンガーさんの高樹齢から造られるゲミッシュターサッツは、多層的な味わいに加え、近年(個人的には、今ヴィンテージから)より洗練されエレガントで緻密なワインになったと感じています。

今まで、飲んだことがある方もない方も間違いなく今までと違う新しい発見になるかと思います。

本当は、ヴィーニンガーさんの2つ目のブランドであるハイサンノイマンの造りの贅沢さや、シャルドネとピノ・ノワールの驚きの品質についてまだまだ書きたかったのですが、すでに誰が読むねん!という文量になりそうなので今回は、ゲミッシュターサッツだけで止めておきます。

次回もヴィーニンガーさんについて書こうかな。

ここまでお付き合いいただきました皆様。

ありがとうございました!

 

懲りずに次回もぜひご覧ください。

 



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