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ドイツワイントピックス
2025/04/09

ボックスボイテルの今 【ドイツワイントピックス】

ヘレンベルガー・ホーフ株式会社‐ドイツワインの輸入卸

ボックスボイテルってご存知ですか?

 

ドイツ語でBocksbeutelと書き、その意味は山羊の玉袋です。

あまり大きな声で言えないような意味を持つこのボトルですが、
元は18世紀に劣悪なワインと品質を明確に分けるためのいわゆる高品質ワインの証明としてフランケン地方で生まれました

 

由来は、諸説ありますが修道士が祈祷書を入れるための袋だったり、ワインを入れるための皮袋を模して生まれた等と言われています。

 

 

このボックスボイテル。

実は今ドイツで高品質の生産者さんほど、だんだんと使わなくなる傾向にあります。

 

元来の意味を覆すような事態です。

理由は主に2つ。

 

・手間の(労働、資材コスト等)増加

・意義の損失

 

空き瓶の価格自体は、実はブルゴーニュ型の空き瓶と変わりません。

・ボックスボイテル 750ml 0.43€

・ブルゴーニュ型 750ml 0.43€

余談ですがドイツやアルザス地方で目にする縦長のボトル(シュレーゲル)は、安く0.28€のようです。

※2025年4月現在のとある現地卸業者さんの価格です。

価格面は変わりませんが、ボックスボイテルを使うことによって手間は増えます。

ボックスボイテルに瓶詰めするためにはボックスボイテル専用の瓶詰め型、専用の輸送箱が必要となります。

 

コストや手間がかかろうとも高品質重視の生産者さんは、環境にさえ問題なければ使用する傾向にあります。
しかし、何よりの理由はボックスボイテルである意味がなくなってきたからです。

 

ボックスボイテルの使用に関しては、実はフランケン地方(バーデンのタウバーフランケンを含む)のみで使用が許されていること以外は、特に品質に対しての決まりがありません

 

つまり、商業的にワインを造ろうが、品質重視でワインを造ろうが関係なく使えます。

今ではフランケン地方の観光地で目にする低価格のお土産ワインや、低価格に造られたワインに頻繁に使用されていたりします。

 

そうなるとわざわざ手間をかけてまでボックスボイテルに詰めても、結局何の品質証明にもなりません。
だったらボトルを積み上げたり輸送面でも便利で手間も少ないブルゴーニュボトルの方でいいという生産者さんが増えてきています。

 

もちろん、伝統にこだわって使用し続ける高品質ワインを造る生産者さんもいます。

 

個人的にはこの伝統は、守り続けられたらいいのになと思いますが少しずつボックスボイテル離れは進んでしまっているのが現状です。

今回は、ちょっとした小話でした。

次回も読んでいただけますと幸いです。

 

 

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