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ドイツワイントピックス
2024/07/10

ヴィンテージを語る上での私の思う注意点【ドイツワイントピックス】

ヘレンベルガー・ホーフ株式会社‐ドイツワインの輸入卸
今回は、私の私見を強く出した回です。
是非皆さんの意見もお聞かせください。(←優しくお願いします笑)
 
ワインの話題の中でよく上がる話題ですが、良いヴィンテージか良くないヴィンテージかと
いう話があります。
実は、年柄の良し悪しは決して良いか悪いかで二分できるものではないというのが私の意見です。
 
というのも、例えば生産者さんが「難しい年」といったとしてもその言葉の意味は多くの場合、その年の収穫量が少なかったことを指します。
 
ですが、聞き手である私たち消費者の多くは、この一言で「”品質的に”良くない年なんだ」と理解することでしょう。
 
ヴィンテージを語る際には、まさにその年の天地人の3つのファクターを理解した上で話を進めるべきだと思います。
※ややこしいですよね。だからこそ究極的に簡略化した結果があのボジョレーヌーボーの毎年のヴィンテージコメントなのだと私は思っています。(笑)
 
1.天:その年の天気がどうだったか
主にぶどうの樹が成長して収穫するまでの3月〜9月・10月頃までの期間にどんな気候現象が起きて何が収量、品質に対してどう働いたのかということを抑えなければなりません


 
2.地:同じ国でも地域や村、はたまた区画によって状況が大きく異なる


よく「この年のドイツは、収穫前に雨が降って~」や「この年のドイツは豊作で~」と言いますが、全体的な個性としてある程度の傾向はあるものの元々の気候条件が異なるため地域や村、区画によって起きる気候現象は異なります。
例えば霜害は、多くの場合同じ村でも標高の低い畑で被害に遭いやすかったり、斜面の上に森林があることで貯水の役割を果たして乾燥に強い畑だったりと細かく言えば一番キリがない要因です。
 
3.人:以上の気候現象に対して生産者さんがどのような対処をしたか


ヨーロッパでは、雨除けなどの自然的な気候現象に対しての制限は多少あるにせよ何かしらの被害が予想される際、対策を講じることができます。
この判断がそのヴィンテージの中での生産者さんの天と地を二分すとすら言えます。
例えば、私のいたフュルスト醸造所では通常忙しくない収穫前の8月にすべての畑を周り採れるはずだった収穫量の少なくとも半分は、切り落としました。2023年は、例年よりも開花がとてもうまく運び、結実まで完璧でした。そのおかげで一つ樹に対してのぶどうの量が多く、もしもこの対応をしていなければ一部の生産者さんのようにぶどうが熟すのを待つ過程で多くのぶどうが腐敗してしまい壊滅的な収量となってしまう危険がありました。
 
また、醸造面でその年に合った判断がされるかももちろん重要です。
 
以上の3点を踏まえた上でヴィンテージの良し悪しではなく、その年のヴィンテージ個性を見てあげることが重要だと思います。
 
そして、私の知る限りドイツのトップ生産者さんや高品質なワインを生み出す生産者さんは、量の良し悪しはあれど品質の”悪い”年というものはないように思えます。
その年、その時に的確な判断ができ、実行できるからこそ各方面で高い評価を受けるのだと思います。
なので、良し悪しで判断してしまわず、どんな年だったのかなとイメージして見聞きすることでもっとワインが楽しくなると思います。



今回は、私のめんどくさい一面をお見せしてしまったかもしれませんがここまで読んでいただいた方ありがとうございました。
 
めんどくさいと言われても、めげずに更新しますので来月もお付き合いください。


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