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ドイツワイントピックス
2023/01/06

「泡」の需要拡大とゼクトの魅力

ヘレンベルガー・ホーフ株式会社‐ドイツワインの輸入卸

新年あけましておめでとうございます

本年もヘレンベルガーを始め、こちらのドイツワイントピックスもよろしくお願いいたします

 

年末を終え、2023年を迎えたわけですが年末にワインを飲んだという方の中には「泡」つまりはシャンパーニュをはじめとするスパークリングワインを飲んだという方が多いのではないでしょうか?

 

今回は、近年の泡事情についてもちろんドイツのゼクトの魅力も交えながら今回は、お伝えいたします。

 

現在、世界で泡の需要が伸び続けていることはご存じでしょうか?


※CHFはスイスフランです。1フラン=143円(2023年1月6日現在)

上記の表のとおり、年々スパークリングワインの消費は増え続いており、スイスのワイン専門のデータサイト(INFOVIN · Schweizer Informationszentrum Wein)によると再来年の2025年はさらなる消費の伸びが予想されています。

(2018~2022年にかけては世界的なコロナウイルス感染症拡大により、世界中の外食部門や映画祭、美術展、オークション、授賞式などでの需要が少なくなった上、ロックダウン等により生産、流通にも影響し、金額も上昇したこともあって少し落ちたと思われます)

 

ワイン業界の一員としても見逃せない市場となってきているスパークリングワインですが、実は以下5か国が世界の泡の生産20,000,000hlの74%を担っています。



そんな中で我らがドイツは、3位に位置しながらも実は一人当たりのスパークリングワインの消費量は断トツで世界一なのです。



一人当たりの消費量が世界一になるほどの泡好きにもかかわらず、生産量は世界3位というのには理由があります。
(ちなみに日本のワイン年間消費量は一人当たり約3Lですので、感覚的にはおおよそ日本でワインが楽しまれているくらいの割合でスパークリングワインが飲まれているほど消費されています。)

 

◆小規模生産者が多い

ゼクトに限らず、ドイツワインは家族経営などの小規模生産者が多いので生産されるワインの数が他国生産者さんよりも少ない傾向にあります。
(例えばフーバーさんのロゼゼクトは、年産わずか5000本)

 

◆「質より量」の時代があった

1980年頃までのドイツワインはご存じの通り甘口ワインが主流でその時代に多く流通したワインがどちらかと言えば「量」に重きを置いたワインが多かったため(もちろん中には品質重視のワインも生産されています)、手間暇のかかる品質重視のゼクトが多く作られることは多くありませんでした。当時、隣国のシャンパーニュに太刀打ちできるブランド力はなく、現代においても需要は残念ながらシャンパーニュに及びません。

今でも「ドイツは甘口」のイメージが先行してしまっている部分もあるでしょう。

※ちなみに現在有名ないくつものシャンパーニュメゾンの設立、生産、経営にドイツ人が関わっていたりします。

 

他にもワイン法であったり、マーケティングであったりといくつも理由はあげられます。

 

それでも世界3位という位置にあるということは同時にそれだけ評価をされているということでもあります。

これからの市場において間違いなくゼクトは変わっていきます。

ドイツワイントピックスでも何度かお話しましたが、ドイツワインは1980年代~現在において辛口への移行、赤ワインの高品質化などクオリティアップが非常に目覚ましい産地です。

この流れにおいてドイツのスパークリングワイン ゼクトも例外ではありません。

(2026年よりVDPによるゼクトの新しい等級付けが施行されます。詳しくはこちら

 

泡を愛する国民性で、今や情報の流通もスムースな現代において、これほど大きな可能性を秘めたマーケットが目の前に広がっているのに生産者さんが泡の生産に注力しないはずがありません。

 

元来、ドイツ人のワインの消費は隣国のフランスや、イタリアに偏っていました。

これは世界的にですが、泡においては当たり前のようにシャンパーニュが多く消費されます。

 

ゼクトは、ドイツ人自身“自国のワイン”というアドバンテージがドイツ国内であったとしても、まじめな気質のドイツ人は、品質、コストパフォーマンス、オリジナリティにおいてシャンパーニュに勝らなければと考えているのかいないのか、途轍もない手間をかけたゼクトを驚きの価格で市場に出してきます。

(前述のアドバンテージは、実際ドイツ国内ではほとんどないように感じます。あくまで品質が高くなったことでドイツ産ワインの消費が伸びているのだと思います。)

 

ではどう品質が高いのか。

現代のドイツのゼクトの魅力を紹介します。

 

◆圧倒的なコストパフォーマンス

ご存じの方も多いかと思いますが、スパークリングワインの生産において瓶内二次発酵から一定の熟成期間を設けます。この瓶熟が長いほどワインに生じる泡は持続的で細やかなものになります。

しかし、単純な話ですがこの瓶内熟成期間を長く設ければ設けるほど余分にストックしておくスペースが必要となってきます。その分、もちろん管理面においてもコストがかさんできます。(ミレジメ(ヴィンテージ入り)のシャンパーニュ等がノンヴィンテージのものより高額になる理由の一つでもあります)※ワイン法上ミレジメのほうが熟成期間を長くとります。

 ゼクトにおいては5,000円前後から瓶内二次発酵、瓶熟5年前後のゼクトが買えてしまったりします。

 

◆辛口好きに最適!

すべてのゼクトにいえることではないですが、ドイツのゼクトのもう一つの魅力として辛口なものが多いことがあります。(中価格帯以上のゼクトの多くが当てはまります)

スパークリングワインの話題の際によく聞く“ドザージュ(門出のリキュール)”の量が比較的少ないものが多いです。

他生産国のスパークリングワインに比べてぶどうの収量が少ないことがその理由の一つとしてあげられるようです。

他国のスパークリングワインのぶどうの収量が大体約120hl/haと多めなのに対し、ゼクトは急斜面の畑も多いこともあり約60-80hl/haという少ない量になっています。これによって収穫の早いスパークリングワインのぶどうであっても凝縮感が生まれ、ドザージュ量が少なくても味わいにおいて酸とのバランスがとれるのだそうです。(この収量も生産量3位の一因ではと思ってしまいますが・・・)

ドザージュの量が少ないもう一つの理由として、一次発酵段階でのワインを無濾過、無清澄にすることで澱のうま味が味わいのボリュームを支えてくれるのでリキュールの添加を少なくできます。

 

~最後にヘレンベルガー取り扱い 大田黒的おすすめゼクト4選!~

 ※ワイン名からリンクに飛べます。

  1. 「ドイツワインのプライドすら感じる唯一無二の泡」

ラッツェンベルガー バッハラッハー リースリングゼクト ブリュット

分析数値:Alc:12.8% 残糖:4.4g/l 酸:6.6g/l

銘醸地モーゼルとラインガウに挟まれた産地ミッテルラインを代表するリースリングの生産者ラッツェンベルガーさんが造るゼクト。

ゼクト用の急斜面畑から得意のリースリングを使用し、瓶内二次発酵にて製造。

瓶内熟成期間は5年以上でわずかにドザージュをしますが、ドザージュには自社で10年間熟成させたアウスレーゼ等級の甘口ワインを使用するというオリジナリティあふれるゼクトです。嫌いな人はいないはずです。

 

2.「特級畑100%!しっかりと個性を打ち出したゼクト」

ベルンハルト・フーバー ゼクト ロゼ ブリュット

分析数値:Alc:13.2% 残糖:3.8g/l 酸:8.4g/l

 

今やドイツを代表する生産者ではずせない存在となっているフーバーさんのピノ・ノワールのロゼゼクト。近年入荷本数が非常に少なくなっているグランクリュの畑のうち、シュロスベルクのピノ・ノワールを贅沢にも100%使用。瓶内二次発酵後、約6年間瓶熟。年産わずか5,000本。こちらも驚異のコストパフォーマンスです。フーバーさんのブルゴーニュ系品種、とりわけピノ・ノワールには「フーバー香」なる特徴的な香りがあるように思っています。こちらのゼクトもその香りがあり、しっかりとした味わいです。

 

 

3.新入荷「泡も緻密で繊細なスタイル!偉大な生産者の造るピノゼクト」

フュルスト シュペートブルグンダー ロゼ ムスー

分析数値:Alc:12.0% 残糖:2.3g/l 酸:7.1g/l

近年、人気を博しているフランケンの「ドイツ赤ワインのパイオニア」フュルストさんですが、とある専門誌で取り上げられていたのを見てゼクトを生産していることを昨年知り、初入荷。

ゼクトの良年と判断した年しか生産されない希少なゼクトで、フュルストさんの得意とするピノ・ノワールを使用し、大樽とステンレスタンクに分けられ緻密なコントロールを経て繊細さを得たベースワインを瓶内二次発酵にて50か月以上熟成することによって造られます。亜流酸添加もほぼしていないそうです。

細やかできめ細やかで溌剌とした泡、シルキーなテクスチャーに非常にドライなアフターを愉しむことができます。

 

今年は、ドイツのゼクトトップ生産者で「帝王」と呼ばれるラウムラントさんの新しいラインナップが入荷します!

社員で試飲した際に口をそろえて「うまっ!」と感動したほどです。

 
改めて2023年も変わらぬご愛顧賜りますようよろしくお願い申し上げます

今年も魅力的なワインをたくさんご紹介します。
どうぞ楽しみにお待ちください♪