放課後ヘレン
2025/09/12

秋刀魚(さんま)に合うワイン

ヘレンベルガー・ホーフ株式会社‐ドイツワインの輸入卸

残暑も落ち着き、夜には爽やかな秋風が心地よい季節となりました。
秋は色んな食材が旬を迎える季節です。

ということで、今回の放課後ヘレンのテーマは
秋の味覚の代表ともいえる「さんま」で行います!

会社近くのスーパーで1尾丸ごとシンプルに塩焼きにしていただき、
1人1尾ご用意しました。


1人1尾ご用意するということで、
さんまを3つの下記部分を意識してそれぞれワインを合わせていきました。

身の部分
味の特徴→程よい塩加減の味わい。

尻尾の部分
味の特徴→身の部分と比べて塩味が強い味わい。

肝の部分
味の特徴→ほろ苦さのある味わい。



秋刀魚(さんま)に合わせるワインはこちら

合計12種類のドイツワイン、オーストリアワインで検証しました!

白 ヴィラヴォルフ リースリング 2023
白 シュタインマン ジルヴァーナー カビネット トロッケン 2022
白 ヴィルトヴァイン 2022
白 ファルツ ブラン・ド・ノワール 2024
白 マルターディンガー ビーネンベルク ヴァイサーブルグンダー Hラベル 2022
オレンジ ライナー ゲヴュルツトラミナー 2021 
ロゼ シルヒャー クラシック 2023
 レンツ・モーザー ツヴァイゲルト 2020
 ベッカー ポルトギーザー 2023 
 ヴァスマー シュペートブルグンダー 2022

番外編
 クロイツベルク シュペートブルグンダー 2022(営業さんの試飲サンプルを分けていただきました)
 ベッカー ギョーム 2021(迫さんがギョームと合わせてみたいということで開けました)




試飲は同じグラスを使用し、ワインの白は冷やした状態、
赤は18℃前後くらいのものを使用します。
みんなそれぞれ気になった順番で行い、
最終的にさんまと総合的に合うワインはどれなのかを検証しました。
今回は参加人数が少なく意見が割れてランキングをつけるのが難しかったので
さんまと特に合ったワイン、あまり合わなかったワインをそれぞれ発表します。

秋刀魚(さんま)と特に合ったワイン

・シルヒャー クラシック 2023 参考上代価格3,800円(税抜)
ぶどう品種:ブラウアー・ヴィルトバッハー
生産地:ヴェストシュタイヤーマルク/オーストリア
生産者:ラングマン

「シルヒャー」とはブラウアーヴィルバッハーという黒ぶどうから造られる世界一酸度が高いと言われているロゼワインです。
そんなシルヒャーで最も名をはせている生産者がラングマンさんです。
真面目で情熱的な彼が造るシルヒャーは酸度がただ高いだけでなく果実味豊富で土地由来のミネラルを存分に感じる、
スパイシーかつ爽やかで個性的なワインが特徴的です!


桑原:スパイシーさが合う気がする。
小川:爽やかな味わいで良い意味で青さが仕事をしている感じがした。



桑原さん一押しのシルヒャー!

爽やかで個性的な味わいのシルヒャーは生臭さを上手く消しているという意見がある中、
飲み進めていくとちょっと酸がシャープ過ぎて生臭さが気になってくるという意見もありました。
ワンランク上のより引き締まったボディの
シルヒャー ホッホグレイルの方が合うのではないかという声もありました。

・ヴィルトヴァイン 2022 参考上代価格3,800円(税抜)
ぶどう品種:ピノ・グリ
生産地:ファルツ/ドイツ
生産者:デア クライネ・フリッツ

きつねのマークでお馴染みのベッカーさんが友人から買い付けたぶどうで造るシリーズの中の1本です。
友人が栽培するその年の出来が良いぶどうを使用するため、毎年品種構成が変わります。
2022年はピノ・グリ100%で柑橘系の香りがほのかに香り、爽やかでぶどう品種からくる苦みとの調和がとれている味わい。



"Wildwein(ヴィルトヴァイン)"のWildは、ワイルド(野生)を意味します。
つまり”ワイルドワイン”と名付けられています。
なぜラベルはきつねではなく、イノシシなのかというと・・・
ドイツ語でイノシシのことをWildschweinヴィルトシュヴァイン)と言います。
ダジャレでワインの名前つけるなんて、なんとも現当主フリッツさんらしいラベルです。

迫:柑橘感が程よく、さんまとマッチしていました。
高橋:ブドウ品種からくる苦みが引き締めてくれていた。

他にも、さんまの脂身に対しても酸がしっかりきってくれてもう一口食べ進めたくなる感じだったや、
肝や尻尾部分に関しても生臭さを強く感じさせることはなく、
白ワインの中では身、肝、尻尾部分の全体的に相性が良かったです。

・ベッカー ギョーム 2021
※現行ヴィンテージは2019年 参考上代価格3,700円(税抜)

ぶどう品種:カベルネ・ソーヴィニョン、ドルンフェルダー、ポルトギーザー
生産地:ファルツ/ドイツ
生産者:フリードリッヒ・ベッカー

ベッカーさんは畑をフランス領に約70%所有しており、
このワインもフランス領にこっそり植えているカベルネ・ソーヴィニョンを主体に
ドイツ系品種をブレンドさせている非常に珍しいセパージュです。
カベルネからくるタンニン分と渋みの少ないドイツ系品種を使用することでエレガントな仕上がりになっています!



迫:皮の脂と合わせて非常に良かった。
奥山:肝の苦みとの相性が試した中で一番良かった。

今回の放課後ヘレンのダークホース。
今回は新しいヴィンテージが倉庫に入ってきたので、
ちょうど味を知りたいということで開けることになりました。
タンニン分が魚の生臭さを上手く消していて、肝や尻尾の部分まで美味しくいただけたという意見がありました。
反対にタンニン分が残るのが少し気になるという意見もありました。



秋刀魚(さんま)とあまり合わなかったワイン

・ファルツ ブラン・ド・ノワール 2024 参考上代価格2,500円(税抜)
ぶどう品種:ピノ・ノワール
生産地:ファルツ/ドイツ
生産者:ヘレンベルク・ホーニッヒゼッケル

ヘレンベルク・ホーニッヒゼッケルは南ドイツ地方のファルツにある1903年創立の協同組合です。
加盟農家のほとんどが有機栽培を実践していて非常に良質なぶどうから造られるワインは
どれも価格以上のクオリティで人々を魅了しています。
今回のワインはピノ・ノワール100%で造られたやや辛口白ワイン。ほのかに優しい甘味が感じられます。



彼らが所有するメインの畑の一つ「ウングシュタイナー・ヘレンベルク」

高橋:甘さは不要でした。
奥山:さんまの良い香りが消えてしまう。

残糖を感じるワインはイマイチでした。ほのかな甘さが魚の生臭さをより際立たせていました。
肝や尻尾部分に対してはより生臭く感じました。
ほのかな甘さが美味しいポイントですが、今回はそれが裏目に出る結果になりました。
さらに2024年ヴィンテージは前ヴィンテージよりも残糖が高くなっていたので、より甘さを感じるという発見もありました。


・ライナー ゲヴュルツトラミナー 2021 参考上代価格6,500円(税抜)
ぶどう品種:ゲヴュルツトラミナー
生産地:ファルツ/ドイツ
生産者:ユルゲン・ライナー

ユルゲン・ライナー醸造所は南ドイツのファルツに醸造所を構える、
40年以上の歴史を誇る家族経営のワイナリー。
ビオディナミ農法を用いて、2011年にデメター、2020年にリスペクト認証を獲得するなど、
今はドイツのナチュラルワイン界を牽引するような生産者さんです。
今回のワインはふくよかでアロマティックな辛口ワイン仕上がっております。



桑原:果実のフルーティさが全く合わなかった。
迫:アロマティックな香りが良くなかった。

アロマティック系品種の特徴的な香りが生臭さを強調させ、お互いの良い個性的な香りや味わいを邪魔しあっているようでした。肝や尻尾部分に関しても同様。
それぞれ別で飲んだり食べたりした方が良いという意見もありました。

まとめ



今回、さんまとワインを合わせてみてわかったことは、
もちろん個人差はありますが、
赤ワインはどれも全体的に身と肝、尻尾の3つの部分に合っていたのが印象的でした。
ただ、チャーミングで果実味があるタイプよりかは
タンニンが割としっかりとある赤ワインの方が
さんまの脂身や生臭い部分に対して良い形で寄り添う感じがありました。
おそらくさんまは赤身魚に分類されるということも関係あるかもしれません。


反対に白ワインは全体的に少し難しい印象でした。
酸がシャープなタイプは臭みが前に出てしまったり、
香りがアロマティックなタイプは香りとの相性があまりよくなかったです。
甘味があるタイプはさんまの脂身や香りとバッティングして、さんまに甘味は必要ないことが分かりました。
白ワインの中でも樽感、塩気、苦みがあるタイプのワインはさんまとの生臭さがあまり気にならず、相性がよい傾向でした。

肝や尻尾部分に関しては、
苦みや生臭さが強調されることが多く難しかった為、
上記の「さんまと特に合ったワイン」のようなタイプのワインで合わせていただくと
美味しくワインとさんまを一緒に楽しめるのではないのでしょうか。
それかやっぱり日本酒と合わせる方がしっくりくるという意見もありました。

以上が検証結果です。
各々が予想していたものが思ったより、合ったり合わなかったりして非常に発見がある会でした。
実際に試してみないと分からないことですし、人それぞれ感じ方が違うのもとても勉強になりました。

是非、今回ご紹介したドイツワイン、オーストリアワインと
秋が旬のさんまを合わせてみてください。

また次回お会いしましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました!

小川純平


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