Georg Breuer / Rheingau

ゲオルグ・ブロイヤー醸造所 / ラインガウ地域

ドイツ“辛口”リースリングの復権に挑んだ、 ラインガウの名門

ほんの百年ほど前、世界で最も高価とされていたワイン…それはボルドーでもブルゴーニュでもなく、ドイツワインの聖地・ラインガウのリースリングであったという史実があります。食事によく合う最高の辛口ワインとしてラインガウのリースリングが世界中で愛されてた過去。その復権の立役者が、ゲオルグ・ブロイヤー醸造所の前当主であるベルンハルト・ブロイヤーさんです。2004年5月20日に急逝した氏の遺志は、娘の現当主テレーザ・ブロイヤーさんに引き継がれ、「ドイツワインの復興」という壮大な目標に着実に向かっています。

ブロイヤーワインの特徴

ブロイヤーさんのワインの最大の持ち味は引き締まったボディと強靭な酸。それは、ぶどうの種が茶色くなるまで生理的に完熟した状態でありつつ、過熟していない青いぶどうのみを粒単位で選別しているから。そのこだわりによって、ワインはしっかりとした果実味を持ちながらも重くない、独特の味わいを持つようになります。

現当主テレーザ・ブロイヤーさん Theresa Breuer

(1984年生まれ)

前当主の父ベルンハルトさんの急逝から、なんと19歳の若さで跡を継いで醸造所を切り盛りしています。フレッシュで芯のあるワインは、溌剌として元気いっぱいのテレーザさんの性格が反映されたような味わいです。

 

品質における哲学(故ベルンハルト・ブロイヤー氏より)

「ゲオルグ・ブロイヤー」その名において造りだされるワインは我々自身で好んで飲まれるワインでなければなりません。すなわちその品質は私達の要求と一致し、全てのワインはその際立った個性のもと、唯一無二のものであるといえます。私達のワインは力強くもエレガントな仕上がりとなっています。食事と合わせることを前提とし、そのほとんどを「辛口」及び「中辛口」に仕上げています。                 

—— 故ベルンハルト・ブロイヤー氏

独自の4段階の格付け

前当主ベルンハルト・ブロイヤー氏は従来のドイツの複雑なワイン法に全くとらわれることなく独自の4つのカテゴリーにクラス分けをしました。裏のラベルに小さく書かれたローマ数字がそのクラス分け。Ⅰ~Ⅳまであり、数字が小さくなるほどクラスが上がります。
  

 ベーシッククラス(Ⅳ) ・ソヴァージュ リースリング
ラインガウ全域の果汁を使用した、ベーシックなシリーズ。ステンレスタンクでの熟成。
ソヴァージュとはフランス語で「野生」を意味し、その名のとおり、野生的な果実味、 酸味、
ミネラルが特徴。

村名入り(Ⅲ)・エステート ラウエンタール
ラウエンタール村の果汁のみを使用したヴィラージュクラスにあたるワイン。
ラウエンタール村のモノポール、ノンネンベルク畑の果汁のみを使用しているが、
特級畑と区別するために畑名の表示はありません。ステンレスタンク、および大樽での熟成。

・エステート ロルヒ
暖かな午後の日差しをしっかり受け、熟度も上がりますが、夜は寒くて長く、
午前中はあまり日が当たらないこともあって、
果実味と酸味がしっかり両立していることが特徴です。
また、土壌はシンプルで、粘板岩と珪岩のみ。
他のラインガウのワインに比べると、味筋も土壌由来からかシンプルで、非常にミネラル分が豊富。
塩っ気が強いです。ラインガウとモーゼルの中間のような味わいを感じます。

 

セカンドラベル(Ⅱ)

・テラ モントーサ

所有する4つの特級畑の果汁のブレンドで、醸造所のセカンドラベルにあたるワイン。ワイン名はラテン語で急斜面を意味し、急斜面の畑のぶどうのみを使用していることを強調しています。エチケットのデザインも急斜面の断面をイメージしています。大樽での熟成。

 

特級畑(Ⅰ)

・リューデスハイム ベルク・シュロスベルク
 ・ラウエンタール ノンネンベルク
・リューデスハイム ベルク・ロットラント
・リューデスハイム ベルク・ローゼンエック

醸造所の顔とも言える、特級畑名入りのワイン。リューデスハイムとラウエンタール、
2つの村に合計4つの特級畑を所有しており、それぞれの特徴がよく出たワイン造りを
心がけています。

 

リースリング ヴェンチャー

“ラインガウを最高の形で表現“ ラインガウの仲良し3人組がコラボ

ラインガウを代表する若手3人組による企画。「ラインガウを最高の形で表現」した味わいということで、酸味とキレのあるフレッシュな辛口です。エチケットはそのままライン川を表現。瓶詰はメアライン醸造所にて行われます。ブロイヤーさんの従姉妹が所有する、ホテル兼レストラン『リューデスハイム シュロス』のハウスワインになっています。

(左)テレーザさん、(真ん中)エストリッヒ村のワイナリー、メアライン醸造所(右)ブロイヤー醸造所のケラーマイスター マルクス・ルンデンさん








所有している畑

ブロイヤー醸造所はリューデスハイム村に25.5ha、ラウエンタール村に6.5ha、そして2019年に購入したロルヒ村に8ha、合計40haの畑を所有しています。
リースリング86%、ピノ・ノワール10%、ピノ・グリ3%、ピノ・ブラン1%、オルレアン、ホイニッシュを栽培。


 

 



 

            

リューデスハイム村の3つの特級畑

【Berg Rosenek】 ベルク・ローゼンエック

ブドウ畑では、畑の周囲にバラの花を植えることが多々あり、こちらの畑名もそちらに由来します。バラはブドウの樹より病害に弱く、畑に問題がおこると最初にバラの花が枯れるので、ブドウ栽培家の方々は早めに病害対策を取ることができるからです。この畑の周囲には、そのバラの花が多く植わっており、その影響か、バラのような香りのするワインだといわれることも。他の畑より標高が高いため、酸のきれいな、最もエレガントなスタイルのワインが出来上がります。

【Berg Rotland】ベルク・ロットラント

畑名は中世のドイツ語のRottenという単語から。英語では「the Clearing of the Area」となり、1074年にはすでに開墾されていたという記録もあります。赤土が混じった土壌で、一説には土が赤い(多くは酸化鉄が混じっているため)と、土地が熱の吸収効率が上がり、また地中の微生物の活動が活発になるという利点があるそう。そのためか、ブロイヤーさんのグラン・クリュの中では、最も果実味があり、トロピカルな雰囲気のワインが出来る畑です。

 

Berg Schlossberg】ベルク・シュロスベルク

一番長期熟成タイプで、クオリティの高いワインを産み出す、フラッグシップとなる畑です。粘板岩や石英を多く含む土壌は、ワインに豊富なミネラル感を与えています。寒暖差のある気候に、熱吸収効率のよい急斜面、さらにはライン川からの反射光も手伝い、よく熟した果実感が特徴です。また硬質で鋼のようなミネラルと強靭な酸が、このワインに何十年の時を越えて熟成していくポテンシャルを与えます。

 
 

ラウエンタール村の特級畑

【Nonnenberg】ノンネンベルク

畑名は修道女の山の意で、かつては女性のための修道院の建物の麓に広がっていることから。1990年代、ベルンハルト・ブロイヤーさんが、国立醸造所より購入した単独所有の畑です。ライン川沿いより、少し内陸に入った、南東向きの畑で、リューデスハイムの畑より少し表土もあるため、柔らかな味わいで酸が非常にのびやかな、美しいワインに仕上がります。
2002年、VDPの地質調査の結果、畑がライン川より離れていたため、グラン・クリュの認定が受けられませんでした。当時VDPの会長だったベルンハルトさんは、その結果に異議を呈し、ゲオルグ・ブロイヤー醸造所がVDPから脱退するきっかけとなった、思い入れの強い畑です。

 
 
 
 
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