Keller/ Rheinhessen

ケラー/ ラインヘッセン

殿堂入りを果たしたリースリングの巨匠

マスターオブワインのジャンシス・ロビンソンはこう述べています。

 

“If I had to choose one wine to show how great dry German Riesling can be I would choose a Keller Riesling. Those wines are the German Montrachets”

 

私が辛口のドイツ・リースリングの偉大さを伝えるために1本のワインを選ぶとしたら、ケラーのリースリングを選ぶだろう。彼らのワインは“ドイツのモンラッシェ”である。

ケラー醸造所のあるのはラインヘッセン地域。なだらかな丘と平野が広がり、穏やかな気候ということもあって、ドイツで最もたくさんのワインが生産されている地域です。かつて、ラインヘッセンは「リープフラウミルヒ」に代表される、安価甘口ワインで世界中に名を知られることになりました。

ラインヘッセンの地図。黄緑色が畑で、色の濃い黄緑色が一級畑、濃い緑色が特級畑。 畑がたくさんあること、そして特急畑が少ないこともわかります。

 

ほとんどの畑は黄土や粘土に覆われており、肥沃でぶどうが育ちやすい条件が整っているので、ミュラートゥルガウやジルヴァーナーなどの多産型品種が盛んです。
ただ、ラインヘッセンの南部、ダルスハイム村周辺だけは別!
硬い石灰岩の土壌が局所的に存在しています。痩せた土地で、ボリュームのあるワインや大量生産向けのワインには向いていないこともあり、かつては注目されていませんでした。この土壌のポテンシャルを最大限に生かしたワイン造りをいち早く行うようになったのが、ケラーです。
ワイナリー自体は1789年創業ですが、現当主のお母さんが、モーゼルのザールからリースリングの苗木を持ってきて植えたのが、今の高品質なリースリングワイン造りのスタートとなりました。

 

息子さんであり現当主のクラウス・ペーター・ケラーさんの代になり、ラインヘッセンの安価なイメージを打破すべく、志を同じくする仲間とともに、2002年に「Massage in a bottle」という団体を結成。品質重視のワインを造り、仲間同士での情報交換、広報活動、イベントの実施など精力的に活動し、自らのワインを研鑽しました。(今は解散し、新たな団体MAXIME HERKUNFT(マキシーメ・ヘアクンフト)に吸収されました)

ヘレンベルガー・ホーフが扱っていた15年ほど前、2007年あたりには、その名は知れ渡り、もう十分トップ生産者だったのですが、そこからさらにケラーのワインは洗練され、神格化。毎年のようにゴーミヨ誌のリースリング部門、さらに辛口や中辛口、甘口と複数の部門で最優秀賞を受賞、この10年で最も受賞歴のある生産者として殿堂入りしました。

16haしかない畑から生まれるリースリングは生産量も少なく、毎年リリースとともに一瞬で完売するため、ドイツ国内でもほとんど出回らず、彼のワインをちゃんと確保できたショップやインポーターは「幸運なワイン商」と言われるほどです。 

 

ケラーのワインの持ち味は、圧倒的なミネラル感と、隙のない緊張感のある味わい。石灰岩土壌のミネラルを最大限に表現するために、ぶどうが過熟しない程度に収穫を遅らせ、ハンギングタイムを長くしています。

収穫前の古木のリースリング。 とても健全な様子がうかがえます。

粘板岩土壌のモーゼルやラインガウのリースリングとは全く系統の違うタイプですが、リースリングを突き詰めて磨き続けると、このような極地にたどり着くんだと驚かせてくれます。

 

ケラーを代表する畑、ダルスハイマー オーベラー フーバッカー 

1971年のドイツワイン法改正で、4haだったフーバッカー畑が周囲の畑と統合、22haになりました。ケラーはオリジナルの4haの畑を単独所有しており、統合されたフーバッカーと区別するため、「オーベラー フーバッカー」とし、こちらから生まれるグランクリュのワインにはモノポール(単独所有)の表記がされています。

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