スタッフブログ
2019/03/11

Memories of 珍道中

ヘレンベルガー・ホーフ株式会社‐ドイツワインの輸入卸

みなさん こんにちは
春の訪れを少しずつ肌で感じる季節となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
今週のブログ担当は、花粉で顔面崩壊中の高橋です。どうぞ最後までお付き合いください。



先日パソコンの中のデータを整理していたら、少し懐かしい写真が出てきました。
ドイツ・デュッセルドルフで毎年開催されるワイン見本市「プロヴァイン」に訪問した時の写真。
到底一日では周りきれない規模の、ヨーロッパを代表する盛大なワイン見本市です。


プロヴァイン2.jpg


写真の日付はちょうど今頃の季節、2013年3月24日。
特に私たちのお取引する醸造所のスタンドはひと際人気で、最新ヴィンテージが披露されることもあり、試飲をするお客様で常に混雑していて近づけないほど大盛況。


生前のベルンハルト・フーバーさんのお姿もありました。
今思えばこの頃もう病気は発覚していたはず。そんな中、激務をこなしていたのかと思うと胸が詰まる思いです。

プロヴァイン3.jpg



家業を本格的に手伝いだした頃のユリアン君は、今のトレードマークである熊みたいなヒゲが無くて何だか初々しい。

プロヴァイン4.jpg



ずっと忙しそうに働くベッカーさんに、一緒に食べようとピザの差し入れを持って行ったら、2秒で全部食べられました。抜群の吸引力です。

プロヴァイン5.jpg



そしてまたお決まりのポ・テ・ト。

プロヴァイン6.jpg




実はこの会場に辿り着くまでの道のりは、私にとって非常に困難なものでした。
デュッセルドルフにはいまだに忘れられない珍道中の思い出があります。



フランクフルト空港でデュッセルドルフ行きに乗り換えようとしたら、出発時刻が遅延しており少し待ち時間がありました。
同行の会長とはまた後ほどと一旦別れて、近くを一周廻り、また乗り口に戻っても搭乗案内はまだ。
じゃあ飲み物が欲しいなーとまたうろうろし、戻ってきても状況は変わらず。
有難いことに搭乗口の隣に無料で提供しているコーヒーがあったので、ゆっくり頂きながら案内が始まるのを待っていました。


5分・・・10分・・・

おかしいなー。
まだかなー。


15分・・・

さすがにおかしいよなー。


いよいよ不安になったので、係の方にこの飛行機の搭乗はまだですかと聞きに行くと、「今、飛んだ」とさらりと言われた。


(◎_◎;)は??? なんですと!!!???


「いやいや、私ずっとここで待ってたんですけど!!」とは言ったものの時すでに遅し。
どうやら私がうろうろしている間にすでに乗り込みが開始していて、最終コールにも気付かないまま見事に乗りそびれてしまったのです。



えらいこっちゃ・・・どえらいことしてしもた!!!
足がもつれそうになりながらも全速力でサービスカウンターに走り、必死のパッチで片言でどうしても今日デュッセルドルフに行かなければいけないことを伝え、別の便のチケットを(もちろん有料)手配してもらい、乗り口まで今すぐ走れと言われてまた爆走。

広い、広すぎるぞフランクフルト空港!



汗だくで乗り口に辿り着いたが、その便も遅れており待ち時間だけがむなしく過ぎてゆく。
色んな人に怒られることが容易に想像できる状況と、会長とはぐれてしまった為に、空港に着いてからホテルまで果たして辿り着けるのかという不安に押しつぶされそうになりながらの、生きた心地のしないフライト。
はやる気持ちを抑えきれず、無意味と分かっていても飛行機内で走りたい衝動に駆られました。




案の定、空港からの電車は券売機の表記がいまいち理解できず、チケット購入から四苦八苦。
ホームで電車を待っていると、乗りたい電車が向かいのホームに入ってすっと行ってしまった。何だあっちかとホームを変えたら、今度はさっき居た向かいのホームから電車が発車。まるでデジャヴ。

どうしたらいいんだ。テンパり過ぎて時刻表の見方がよく分からない。

3本電車を乗りそびれて、また拷問の様にスーツケースをごろごろ引いて移動していた時、後ろからドイツ人の知的メガネ男子が運ぶのを手伝ってくれ、親切にホームまで導いてくれた。


救世主登場!!


降りる駅が一緒だからそこまで案内してくれると言う。しかもお仕事で日本に行ったことがあり、友達もいて日本が大好きだと爽やかに微笑む。私がドイツワインに関わる仕事をしていると話すと、キラキラした目で話を聞いてくれ、またドイツに来ることがあったら連絡してと名刺までくれた。
嗚呼、知的メガネ男子。あと30分長く一緒に居たら、100%好きになってしまっていただろう。




目的の駅に無事着き、後ろ髪を引かれながらも救世主に別れを告げ、いざホテルへと歩き出した矢先のことだった。
また後ろから若い男性の声で、「君、服が汚れているよ」と話しかけられた。
コートの裾を見たら白いペンキのようなものを引っかけていたずらされている。

やられた!見るも無残な姿である。
その時のコートがこちら。

プロヴァイン7.jpg


お礼を言って先を急ごうとすると、気付けば5,6人の若い男性たちに囲まれて、「すごい汚れているから見てみなよマダム」、「脱いだ方がいいよ」と大騒ぎし執拗について回る。


ははーん、これか。
観光ガイドで読んだことがある。洋服を汚されてあわてて荷物から手を離して、そちらに気を取られている間に貴重品を持って行かれてしまうスリの手口。


あんまりうるさいし腹立つし、このまま着ていたら目立つから、「気にしないわ!」と言って荷物を守りながらコートを脱いだ。気温はマイナス3度である。

「ちっ、なーんだ」みたいな顔をしてその若者たちは退散したけど、その後も10mぐらいの距離を置いてずーーっとついて来る男性が一人。私が立ち止まって振り返ると、むこうも立ち止まって目をそらした。どう考えても怪しい。


確かにアジア人女性が一人でスーツケースをごろごろ引いて、寒空の下汚れたコートを片手に歩いていたら目立つ。良いカモである。
しかしここまで来るまでに私の精神状態は既にすさみまくり。もう怖いものなど何も無い。


あんまりしつこくついて来るので、ここには書き記すことが出来ないほどダーティーな関西弁で一喝したら、そそくさと退散した。
関西弁は世界最強言語である。




どうにかこうにかして、傷だらけの戦士のような状態でやっとホテルに辿り着いた。
エントランスに入ってすぐの階段の先に見えたのは、数時間ぶりの会長のお姿。


「ああぁああ~会長~~~~(´;ω;`)」もはや半泣きの私。
飼い主に再会できた迷い犬状態である。

「よう来たな。待ちくたびれて腹減ったわ。」と話すその姿にはまばゆい後光が見えた。




今思えばうっかり飛行機を乗りそびれてしまったのが全ての始まり。鈍臭さ丸出しである。
帰国後、コートをクリーニングに2回出したけど、結局汚れは取れませんでした。クリーニング屋さんもびっくりの汚れ様。
もう着られなくなったけど何だか捨てられず、その旅を忘れないために今も保管しています。



お前や!と突っ込まれるのはわかっていますが、
総じて言えるのはただ一つ、海外で「気を抜くな」であります。(お前や!)




ヘレンベルガー・ホーフ㈱ 高橋